2006年07月23日

理解なんだか見解なんだか・・・

今回のジダンの行動(あの状況で挑発に乗ったこと)を敢えて理解しようとすれば、結局彼は、サッカーの勝利よりも、家族や個人の名誉を守ることを優先する人だったということなのではないか。最後の試合でも自分の怒りに駆られることを選んだ。個人の誇りを守ることを選んだ。彼らしいというか、彼は自分がそういう人間なのだということを、最後の試合でも身をもって表したのだ。ジダンが自分の行動を恥じないというのは、だからなのだろう。

しかし、恐らくジダンがそういう人間であることを知っていて、うまく挑発したマテラッティをジダンよりさらに悪質と見るのは、行き過ぎではないだろうか。何故ならこれまでピッチ上ではこういう作戦はよしとされてきたのだから。それは一つの常套手段なのだから。ぶっちゃけて言うと(イタリアの)サッカーとはそういうものなのだから。

そして、何故こういうことが通ってきたかというと、いくらFIFAに、言葉の暴力に対する厳しい規定があっても、その規定が通用するのは、それが審判に対して行われたり、審判に聞こえるところで行われた時に限られてきたからだ。身体的暴力は、そこに怪我をしたり、倒れたりしている選手を第4の審判までの誰かが目にすることで、確認が可能だ。さらに、ビデオでも検証が可能だ。(実際は、まだ、ビデオ検証は認められていないと思うが。)
だけど、言葉の暴力はそれこそ唇が読めるような精密な映像が残っていなければ実証が難しい。ということは、その場での実証は不可能に近い。おまけに言葉のとりかたは人それぞれだ。

しかし、差別に対する宣言がされた、つまり、差別に関してはクリーンでなければならないこの大会で、母国では差別の撤廃運動に参加しているというマテラッティが、差別的言葉を使ったととられかねない難しい状況(相手がジダンという特別な選手だったことを含む)で言葉の暴力を使ったのは、何故だろう。いつもやっていることだからついやってしまった?そうかもしれない。しかし、それに加えて、以下の理由があると思う。

今回、イタリアは、試合の最初に、理不尽なPKをとられてしまった。あのPKは微妙だけど許容範囲だったという意見が主流のようだけど、やはり、私は理不尽だったと思っている。DFのマテラッティはファウルをとられないよう、はっきり脚を引っ込めている映像が残っているのだし、審判のかなり強引な判断だったと思う。但し、それが、主審が統べるサッカーというスポーツの特質なのだから、しかたないこととは思う。マテラッティもしかたないと思ったことだろう。

でも、とにかく自分のせいで先にフランス側に点が入ってしまったことには変わりない。そこで、マテラッティは必死になった。自らの力で一点返し、同点にした。そして、本来ならその1点で勝っていたはずのイタリアに勝利を取り戻そうと、しゃかりきになってディフェンスをした。言葉の力でもなんでも総動員した。そのダーティな言葉の一つがうまく、ジダンの心にクリーンヒットした。そして、マテラッティは、ジダンを退場に追い込んだ。彼の作戦が功を奏したのだ。

ピッチ上ではチームの勝利の為にはなんでもやる(=勝利の為にやることは汚いことと思わない)人間と、チームの勝利より自分や家族の名誉と気持の方を重んずる人間。ここで言う人間を民族と置き換えてしまっていいかというと、う〜ん、ほとんどかまわないのではないだろうか。いずれにしろ、どちらも日本人とはかなりかけ離れた人達であることは間違いないと思う。

今回のことで、コテコテの日本人な私なんかは、サッカーというのは、こういう「濃い」人達がやるスポーツなんだから、日本人が強くなるのは難しいよな、なんて改めて思ってしまったのだった。しかし、これも外人に対する先入観に基づいた一種の差別意識なのかもしれない。

でも、そんな私でも、ジダンを擁護するフランス人の国民感情も、マテラッティは罰を受けるようなことをしていないと主張するイタリア人の論理もそれほど無理なく理解することはできるんだから、両方を尊重しつつ罰したFIFAの裁定はまあ妥当なところだったのではないかと思うのであった。マテラッティの暴言の内容を封印したことと、ジダンのMVP剥奪をしなかったことを含めて。

http://www.sanspo.com/soccer/top/st200607/st2006072101.html
(いろいろ出てる中で、このサンスポの記事、とてもわかりやすかったように思います。)
posted by miquage at 23:08| Comment(2) | TrackBack(2) | その他サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
友人akberlinさんのサイトのコメントに、カルチョ・ストーリコの紹介が載っていました。

http://blog.livedoor.jp/hirorentina/archives/50515527.html

野蛮です。野蛮でタフなヤローどもです。これがサッカーの原点なんでしょうか…。
Posted by とーこ at 2006年07月25日 12:42
とーこちゃん
楽しいサイトをどーもです(^O^)
実は私、サッカーは「格闘技の一種」ではないけど、「一種の格闘技」だと思ってます(びみょーに差が(^^;))。ルール違反に気を付けて、怪我しないように筋肉の鎧をつけて、肉弾戦はどんどんやっていただきたい!(あ、相手のボディーに直接当たったらルール違反になっちゃいますけどね。)
てか、公式にサッカーの母国とされているイングランドでは、兵士が、あげた首級を蹴って取り合って遊んだのが最初だっていうんですから(^_^;)
ここまで洗練されたスポーツになったとはいえ、どろ臭く血生臭い原型はヨーロッパ・サッカーのここかしこに残っているに違いありません。
Posted by miquage at 2006年07月25日 23:13
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