2005年05月21日

舞え、舞え、カタツムリ(>。☆)

ちょと前の話ですみませんが、ダ・ビンチの新しい号が出たので、「舞姫 テレプシコーラ」を読んできました。
何がすごいって、最近こんなスゴイのあまり見たことないです。
・・・なんか、この作品について同じような書き方を前にもしたような気がしますが、
スゴイものはスゴイです。←子供みたい。でも、率直な感動が現れているかと(^^;))

Death Noteがどんなに面白いったって、これとか、HunterxHunterとか読むと、少し色あせて見えてしまう。旬の原作者と旬の画家が組んで、全力をつくして毎号きちんと連載をしていてもなお、休載したり、絵が荒れたりしまくりの、山岸涼子や冨樫義博にハナの差(華の差?)で負けてしまう。キャリアの差?才能の差? 

・・・もちろん好みの問題が大きいかもなので、Death Noteのヒトは、勝手に言ってろ、と思っててください。

でも、どうしても「舞姫」やHxHの方がすごいと思う理由を一つだけ挙げるとしたら、人間の描き方の差なのじゃないかな。テレプシコーラも、HxHも、登場人物にリアリティーみたいなものがあって、主人公達に感情移入するのが、たやすいんだ。だけど、Death Noteは違う。まあ、Death Noteの場合、それを補ってあまりあるストーリーの面白さがあるわけで、人間を描けてない、というより、描く気がないのじゃないだろうか。そこから、感動の質、というか面白さの質が違ってくるのだと思います。テレプシコーラやHxHは、ストーリーだけじゃなく感情的にも作者に翻弄されて、毎回アッという間に終わる。でも、Death Noteはかなり頭使わないと読めないもんね。

あ、そうか、単に私がアタマ単純だから、こっちが好きってのもありか。わかったぞ〜(^◇^)。沈黙。だから、勝手に言ってろ、と思っててくださいね(^^;)

で、ひつこく「舞姫 テレプシコーラ」のスゴさに話を戻します。
この漫画って、まず、始まり方がすごいんです。手元に1巻ないんで、うろ覚えなんですが(すんません)、まず、バレエ教師の母親が、2人姉妹の下の娘と病院に行き、その娘が先天的な体の造りにほんの少し欠陥がある、という診断結果を聞くところから始まります。それはあっても日常的に何も困ることはないことなのですが、プロのバレリーナとして一生やっていくには、致命的とまでいかなくとも、ちょっと問題がある「欠陥」なんです。そういうことをまだ10歳くらいの娘に関し、はっきりさせる、そこから始まるわけです。(この、まさにリアリスト!のお母さんもスゴイです。)

姉娘の千花の方は、そういう「欠陥」もなく、バレエの才能にあふれ、なにより、すでに自分の人生の照準をしっかり定めています。そう、バレリーナとして生きていくことに。彼女が超一流のバレリーナになることに母もすべてをかけているわけです。この人にとっては、バレーに関しては超一流にならなければ意味無いんですね。でも、いわゆる昔の少女漫画と違って、そういうすべてが仲の良い一家の非常に豊かな日常生活の中で淡々と進行するので、この主人公一家のパートを読んでいる限り、ちっとも血なまぐさい感じはしないんです。だいたい、妹の六花の方はバレリーナとしての才能もほどほどだし、死ぬほどバレリーナになりたいわけじゃないんだから、「欠陥」はあっても、致命的なショックではないわけだし。(じわじわと効いてくるボディーブローのようなとこはありますが。。。)

ところが、現実には救いがない人達もいるわけで、それが、この間から書いている、空美ちゃん一家です。主人公一家が幸福なだけに、裏の主人公とも言うべき、空美ちゃん一家の不幸せ度が引き立ちます。そしてその生々しい現実感ったら。

ここでスゴイ、というか山岸涼子らしいのは、なんといっても、空美ちゃん母子には、まずルックス的に全く救いがないってことだと思うのです。空美は、もしかしたら、千花以上にバレエの才能があるかもしれない。そして、母も娘の才能をわかっている。何しろ、飲んだくれの夫の姉は、往年の有名天才バレリーナ(今はもうボケちゃってるけど)なんですから。でもとにかく旦那は働かないし、この一家にはお金がない。そこで、小学生の娘に危ない写真(顔出しはなし)を撮らせないと、バレエを続けさせることができないのです。(立派な犯罪ですね。)母が監視している前の撮影で実際的に危険なことは何も起こらないとはいえ、このせいで空美はすでにもう立派に男性恐怖症です。男性と組んでのバレエなんて一生踊れないでしょう。そして、さらに、その前に、顔がかなりダサ目の男子にしか見えないという大問題があるわけです。ダブルで、いやトリプルで、あきまへんなあ(;>_<;)

その、空美ちゃん一家が今はある事件をきっかけに姿を消していて残念なんですが、その不在の間の主人公姉妹の人生の展開ぶりはすごいもんがあります。今までは、二人ともまだ子供で、不幸にしろ幸福にしろ、リアルではあるけれどまだまだ可愛いもんの範疇を出ないことが多かったわけですが、そろそろ様相が変わってきています。(もしかして、不幸せ担当が、空美ちゃんからこっちに移ってきたのかしらん)

きわめつけは、今回の千花の怪我。これはもうどーしょーもない不幸です。最初の手術がアダとなり、2回目の手術へ、そして、今度は、どうやら3回目の手術です。バレリーナの場合、ひねりがはいる所作があるから、靱帯は切らずに治癒した方がいい、それを最初の医者が知らなかったことから起こった悲劇です。(こいつは、千花がやっているのは、バレエではなくバレーボールと勘違いしたらしい)

しかし、すべての不幸も幸福も、バレエ故に起こることであり、踊りつづけたいと思わなければ起こらないことなわけです。これは、まさにこの漫画のサブタイトルにある通り、「踊ることにとりつかれた」人たちの話であり、「踊ること」が人生である、少女達の物語なのです。千花の場合も、バレエをやめ、別の人生を選ぶなら、例えば、「バレーボール」をやるなら、「手術は成功した」と言える状態なのですから。
ま、言い換えれば、「踊ること」故に人生が踊り続けている(つまり狂い続けている)人たちのお話なんですね。
そして今は、言って見れば今まで幸福な狂い方をしてきた、まだ14歳の千花の人生が不幸な方向に狂ってしまいつつあるわけで、うーん、困ったのう。

山岸さん、早く千花ちゃん、助けてやれよー、と思っちゃうんだけど、この作者って、絶対一筋縄でいかないからなあ。まず絶対に、千花の膝の生体靱帯移植(!)がうまく行き、しかも身長が理想的な高さまで伸びる、なんて結末は来ないのでしょうねえ。シクシク。

せめて、今度こそ手術がうまく行きますように。そして、リハビリが順調に進み、踊れるようになりますように。踊れるようにさえなれば、後は、千花の根性と才能を信じるしかないでしょう。それだけはあふれるようにもっているように見えるんで、とにかく、踊れるようにさえ、なれば!!

・・・なんてね、実はこの話、イ○ハン物語と重なる部分があるような気がして、ますます感情移入しちゃうんだよな。ほんとに、たった一度の怪我から、ここまで回復できないなんて、なんつーことだろう。あーもう○度目の手術だぜー・・・。

一方、空美は、表の世界に戻って来れるんだろうか。あそこまで踊ることが好きなのだから、やめているわけはない。しかし、こっちは、千花一家と不幸の度合いが違うというか、暗黒の世界だからなあ。今からこの子が美しく成長するってちょっとあり得ないので、整形でもうまくいって、きれいになって戻ってきたらどう?そしたらもう無敵なんだが、そういう運命の逆転はないのかなあ。(どうも整形しても失敗しそうな不幸キャラなんで、しない方がいいかも、だけどさ。)

そっか、不幸当番があるとしたら、千花がローザンヌに出られそうに回復するようなストーリーになってきたら、空美がまたその当番になって出てくるのかのう、悲惨。

この、不幸な空美の両親も含め、登場人物に、昔々の少女漫画的な、常識を越えて意地悪で卑しいキャラクターはほとんど出てこないのも、この漫画のリアリエィーが増し、面白さがアップしている要因だと思います。(それだけニッポンが豊かになった、ということなのでしょうか。)

とにかく、主人公の六花(そう、実は主人公は妹の六花の方なんだよね)も含め、主要キャラの今後の運命がどうなるか今一番気になる漫画はこれなのでありました。山岸涼子さん、目を悪くされていて、休載しがちなんだけど、けっして無理せずに、でも、しっかり連載、続けてくださいね。
そして、時々はあの包帯空美ちゃんみたいな、怪しいマニア向け脱線をしてください。楽しみにしてまーす。(相変わらずで、すみませんねm(__)m)
posted by miquage at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 少年漫画>女性漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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